コロナ禍のオーストラリアでアジア人差別はあるか

オーストラリアのビザを2年越しで取得し、いざ出発と意気込んでいた時にコロナの時代はやってきました。
自宅に始まり、車の他ほとんど全ての家財をメルカリで売り払った2020年3月、ライフラインの解約の申し込みも済んでいた出発3日前にオーストラリアの国境は閉鎖され、ビザの発給に2年待った挙句にまた国境再開までどれだけの時間がかかるか分からない真っ暗闇に再度突入しました。

幸い188ビザは永住ビザを除く他のどのビザよりも早く入国が認められる形になりましたが、行ける様になるまで約8ヶ月日本で過ごしましたが、その待っている期間に主にアメリカで起こっているアジア人差別の報道にどうしても目がいきました。

その時考えたのが、「人生全てをかけて決意して準備して来た移住計画で移住したはいいが、報道で見る様なアジア人差別があって安心して生活出来ないオーストラリアになっていたら一体我々家族はどうなるのか」ということでした。

世の中がコロナコロナと騒ぎ出していたころ、Youtubeなどでオーストラリアでのアジア人差別の動画などを観て、もしかしてこれがエスカレートしていきオーストラリアが安住の地ではなくなってしまうのではないかという不安と同時に「いや。オーストラリアにももちろんアジア人差別者はいるだろうけれども国民全体から見たらごく一部に違いない」と心の中で葛藤がしばらく続きました。

ヴィクトリア州に住むオーストラリア人の付き合いの長い友人に「早く行きたいけど、アジア人差別が気になる」という話をしたところ、「当初は少しあったみたいだけど今は全くない。」と「俺たちオーストラリア人がそんなことをする訳がないだろう」という自負も感じたため一瞬安心しましたが、その後に「いや、こんなことでオーストラリア移住を諦めて欲しくないという気持ちもあって言っているのかもしれない」と普段は疑いもしない友人を少し疑ってしまいました。

シドニーで2週間の隔離を経て、久しぶりに外の空気を吸ってシドニー空港からブリスベン空港、そして空港から仮宿のairbnbに向かう車内、airbnbの家主の全ての工程で「もしかして」という警戒が溶けませんでしたが、その後もスーパーに買い出しに行っても街中にいっても「一切」アジア人差別は感じませんでした。

その時、「やっぱり信じていたオーストラリアのままだった。」とため息が漏れ、いつものように白人、黒人、アボリジニ、中国人、インド人、韓国人、日本人が入り乱れた社会で皆ほのぼのと暮らしているオーストラリア。道端で寿司を頬張るオージーのおばあさん、ラーメンを美味しそうにすする白人達。

心配しただけ無駄だったなと家族に言いながら笑みがこぼれ、あの時に友人から感じた「俺たちがそんなことする訳ないだろう。そんなバカなやつはごくごく一部だ」という無言の自信を肌で感じることが出来ました。

改めて思うのはこういった人種差別などの問題は教育で解決出来るものだということです。
これは子供の学校を通して知ったのですが、オーストラリアにはハーモニーデイ(Harmony Day)という日があり、子供から大人までその日にはオレンジのものを身につけて他民族国家を尊重し見つめ直すという習慣があります。

Harmony Week オーストラリア政府ウェブサイト

子供の時からそのようなことが当たり前になっているからこそ、このようなどんなバックグラウンドを持つ人も安心して暮らせる社会が形成出来るんだなと感心させられます。

「この国は相変わらず素晴らしいな。全てを手放してここに来て、州政府に投資した価値がある。」
と改めて噛み締めています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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