オーストラリア強制隔離体験記

オーストラリアは世界でもかなりコロナ感染対策が上手くいっており、私が住んでいるクイーンズランド州を含めほぼ市中感染はゼロという状況が続いています。これは海外からの入国者数を制限していることと、強制隔離のシステムが正しく機能していることを意味しています。

私たち家族は2020年11月6日に人もまばらな羽田空港をANAで出発しシドニーに翌7日に到着しました。
強制隔離についてはもちろん事前に色々と調べていましたが、日本人目線での経験談はなかなかないのではないかと思いこちらでシェアさせていただきたいと思います。

まず航空券の予約状況ですが、2020年の11月時点では日本からオーストラリアに行こうとするとANAでシドニーに入るルートが一番確実ではありますが、値段が非常に高いのがネックです。家族3人でエコノミークラス片道80万円もします。しかし、実際に機内に乗り込むと15名前後しか乗っておらずシドニー行きは夜出発の翌朝到着になりますが、CAさんには「空いている席は使っていただいて構いませんので、楽な格好で就寝いただいて結構です。」ということで完全に横になって寝ることが出来ました。


その後、シドニー空港に到着すると警察や軍などのスタッフが待ち構えていて入国審査などが終わり荷物の受け取りが終わるとそのまま強制隔離のホテルに向かうための専用バスに案内されます。後になって気がついたのですが、この時点で子供がいるグループといないグループでバスが分けられていました。

私たち家族は数グループの家族がいるバスに乗り、そのままシドニーのダーリングハーバーにあるMeritonというホテルに向かいました。

バスの中で調査票のようなものを渡され、到着すると強制隔離後に向かう最終目的地やその住所などを調査票と照らし合わせるように聞かれながらチェックインをしました。私たちは強制隔離がシドニーで終わった後に最終目的地であるブリスベンでも最悪の最悪ありえることもあり、ブリスベンでの仮住まいは予約していない状況で旅立ちました。そこがネックでホテルに業務にあたっている警察官にどうするつもりかと事細かく聞かれました。ここにいる間にairbnbを予約して伝えるということでなんとか無事チェックインが出来ました。

チェックインが無事終わると女性のオーストラリア軍の担当者に荷物を運んでもらいながら案内され部屋に入ると使いやすいキッチンや電子レンジに食器類や調理器具、食洗機、大型テレビ2台にベットも十分な広さがありました。入った瞬間正直ホッとしました。ここならなんとか2週間は持つかなという印象だったためです。子供がいない場合はキッチンのない通常のホテルでの隔離となると後から聞きました。

軟禁状態での一番の楽しみである食事は朝昼晩全て支給されます。この辺りはホテルによって違うかもしれませんが夜に夕食と朝食、昼前に昼食が支給されます。ドアがノックされ少し時間が経ってから開けるとドアの前に置いてあるので素早くとってドアを閉めます。

自分たちのホテルではサンドイッチや果物、中華や寿司といったものが支給されました。最初のうちは家族で美味いなぁなんて言いながら食べるのですが、次第にメニューもルーティン化していることに気が付き始め、だんだんと飽きて来ます。また、アルコール類はホテルのとなりに酒屋があったため、電話すると配達をしてくれます。また、食べ物もUberEatsなどは自由に注文することが出来ますし、大手スーパーのWoolworthなどがやっているデリバリーをインターネットで注文すると最短で当日配達してくれるのでご飯がもっと食べたいとか味噌汁が飲みたい気持ちが出て来たら味噌や醤油、キューピーのマヨネーズとかそういったものは普通にあるので自炊もしました。生姜焼きとか何でも出来ます。お米は鍋で炊きました。

普段の生活ですが、暇つぶしは十分に用意していったほうが良いです。我が家では日本のNetflixやテレビが観られるように日本にいる間に仕込んで来たのでかなり気が紛れました。この辺りはまた別の記事で細かくどうやったかを解説したいと思います。

毎日朝の時間帯に体調を尋ねる電話がかかって来ます。お決まりののどの痛みはないか、咳は出ていないかという基本的な問診で毎回「We are all fine.」と毎回答える感じでした。到着から2日目にPCR検査がありました。喉に綿棒を突っ込まれるタイプで子供が嫌がるかなと思いましたが、かなり優しくやってくれたので全く問題ありませんでした。3日後に陰性であることを告げられました。

一番キツイのは最後の3日ほどでした。最初のうちはまだ2週間あるという気持ちもあり自分を抑えられるのですが、あと数日で出られるのに出られないという状況がキツかったです。これは人によって最初がキツイという人もいるので感じ方は違うかもしれません。

そして、10日目に再度PCR検査を受けてこれで陰性であれば出られるからということで出発日前日にチェックアウトの手順や他の週に行くときの手順などを説明されます。注意しなければいけないのが、2020年11月の時点では州境が閉じていたため、シドニーでの隔離証明書、COVIDタクシーと言われる専用タクシーでホテルから空港に向かった証明(これはレシートや銀行などからオンラインで支払った際はその画面、タクシーの前での写真など)などを州境で提示することで別の州での強制隔離を回避することが出来ました。またマスクはホテルから空港、機内や到着空港でも常時している必要があります。常時私たちはブリスベン行きの飛行機も予約していなかったため、前々日にカンタス航空を予約してブリスベンに向かいました。

また、airbnbやその後の住まいの契約なども全てオンラインで行いました。物件の下見などもオンラインで出来ますし、契約書のサインなども全てオンライン上で完結し、オーストラリアのIT化が予想以上に進んでいることに驚きました。今では当たり前になってしまいましたが、こちらにいるとスマホで全て支払いが出来てしまうため、財布を持ち歩かなくなりました。ブリスベンで唯一現金しか使えなかったのが、ブリスベン日本総領事館のみという何ともお粗末なオチです。

こうして無事シャバに出られた私たち家族はマスクをしなくても良いオーストラリアの空気存分に吸いカラッと晴れた空を見上げました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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