今回はなぜオーストラリアに移住を決めたのか。オーストラリアへの移住の目的を書き留めたいと思います。
私達のオーストラリアへの移住の理由の大きな目的は「子供の教育」と「恵まれた投資環境」です。
まず教育環境ですが、オーストラリアは大学進学率世界ナンバーワンということもあり、非常に恵まれた教育環境があります。
大学のレベルも非常に高く、日本の大学の評価が年々下がる中、世界的に見ても高い評価を得ています。
私達の住む学園都市ブリスベンには日本人にとってかなり恵まれた教育環境があります。
うちの子供は現在小学校6年生ですが、学校の選択肢は色々とあります。
今回の移住の際の学校選びで失敗とまでは言えないのですが、少し認識を誤っていたことがありましたので
これを機会にシェアしておきたいと思います。
シドニーやメルボルン、パースといった都市にはいわゆる日本のカリキュラムにそって授業を行う日本人学校があります。これらの学校は学費が非常に高くどちらかというと会社が学費の面倒を見るような日本から派遣された駐在員などのための学校になり、いずれ日本に帰るという前提の学校になります。
しかし私達が住むブリスベンではこの日本人学校がありません。代わりに週末に補習校というものがありますが、ここの場で日本の授業を全てまかなうということは時間的にも現実的に不可能だと思われます。
うちの子の場合は日本に帰ることを前提として考えていないため、現地の学校に入れることを渡航前から計画していましたが、これまで100%日本語の環境で普通に日本に暮らしていた10歳の子供がいきなり100%英語の環境というのはかなりショックが大きいのではという心配もあり、ソフトスタートを望んでいました。
もちろん渡航前に英語を勉強した後に英検などをトライして3級には合格しました。ただ、やはりテストの世界と現実の世界には大きなギャップがあり、こちらに来てからあまりにも分からずに英語を避けてしまうような本人の行動も見られました。
また、うちの子供が最初に入学した小学校はブリスベンでも有名な公立校で日本語と英語のハイブリッド教育(Emersion Programと言います。)を行なっている学校でWellers Hills State Schoolという学校でした。この学校はオーストラリアの教育カリキュラムに則り、1日の半分は英語、もう半分は日本語という授業を行なってくれる先進的な学校です。教師陣も日本人がおり、非常に良いと感じました。しかも188投資ビザでは学費はただです。まるでハイブリッドのインターナショナルスクールにタダで行ける。これだけでもこれまでかかったビザの取得費も投資に対してのリターンを回収出来るという思惑でいました。
しかしです。最初はソフトスタートという点では非常に良かったのですが、クラスの生徒の約半分が日本人とオーストラリア人などのハーフのご子息がほとんどで日本語を話せるのですが、その素晴らしい彼らの技能と優しさ、日本語での授業が息子の英語力の向上にはあまり適していないことが分かりました。ただ、学校は勉強だけではなく友達を作ったり、オーストラリアのカリキュラムや学校の習慣に慣れたり、親同士の情報交換などの場としては日本人にとっては最高だと思います。
ハイスクールまで1年を切っていたこともあり、このまま行くと英語授業についていけなくなるという不安が本人の中でも出て来たようでした。
そこで他に今の彼に適した学校はないものかと検討し始めていた頃、息子の学校の友達のお父さんにこんな学校があると紹介されたのが、ブリスベンのChelmerという地区にある公立校Milpera State High Schoolです。ここは学区内居住の制限を受けることなくどこからでも入学出来ます。
この学校は息子の様な英語が第二言語である子供達や難民ビザでオーストラリアに来て英語がままならない子供達の通う学校でハイスクールと名前はついていますが、小学生でもIntensive Language Centreという英語集中コースでオーストラリアのカリキュラムのレベルを少し落とした様な独自カリキュラムで授業を行なってくれます。ただ、レベルを少し落としたと言ってもITの授業やロボティクス、プログラミングなどの授業があり、日本の現在の教育環境を考えると「今の日本人に必要なこと」をしかも英語で受けることが出来ます。公立学校のため188ビザであれば学費はもちろん無料です。
また、たまに遠足がありそこで電車の乗り方などを実際に教えてもらえるなど、これからオーストラリアで生活していくための基盤を教えてくれるのも魅力的です。こんな素晴らしい学校の授業が無料で受けられるというのは何とも魅力的であり、このような学校の存在に日頃から日本の教育環境に疑問を呈していた私達は感動すら覚えました。
ここで日本の学校制度とオーストラリアの学校制度を簡単に比較してみたいと思います。
まず大きな違いは学期の始業時期です。
日本では当然ながら4月ですが、こちらでは1月が期の始まりになります。
年齢 | 日本 | オーストラリア |
5歳 | 幼稚園年長 | Prep(小学校入学準備) |
6歳 | 小学1年生 | Year 1 |
7歳 | 小学2年生 | Year 2 |
8歳 | 小学3年生 | Year 3 |
9歳 | 小学4年生 | Year 4 |
10歳 | 小学5年生 | Year 5 |
11歳 | 小学6年生 | Year 6 |
12歳 | 中学1年生 | Year 7 |
13歳 | 中学2年生 | Year 8 |
14歳 | 中学3年生 | Year 9 |
15歳 | 高校1年生 | Year 10 |
16歳 | 高校2年生 | Year 11 |
17歳 | 高校3年生 | Year 12 |
注意点としては日本の義務教育は中学3年生までですが、オーストラリアではYear10(日本の高校1年生)です。
また、大学は日本では4年制ですが、オーストラリアでは通常3年制です。
あと、「College」というと日本人は「大学」と意味を覚えますが、ここクイーンズランドのCollegeは小中一貫校のことを指します。
義務教育が終了すると大学や州立専門学校であるTAFEなどに進学したり社会に出たりしますが、その自由度も日本に比べ高いです。しばらく働いてから大学に行く人も多くいます。
大学の入学基準についても日本の様に受験一発という形ではなくここクイーンズランドではYear 11とYear 12にあるテストの成績で大学側から生徒を選ぶというのが通常の形で一旦ある大学に入って、その大学での成績が良ければより上位の大学に入り直すなど極めて自由が高いのが特徴です。ただ、今後は日本でいうセンター試験の様な形態を取る州も出て来ているということで今後の動向には注意しなければなりません。
教育について書きましたが、2つ目の同期は投資環境です。
ある程度資産をお持ちの方であればあまり大きな冒険はせずに安全資産で日本よりもいい利息が受け取れればいいという方も多いのではないかと思います。
2021年の1月時点でオーストラリア国内の銀行の利息を整理してみましたのでシェアしたいと思います。
さすが金融先進国オーストラリア。銀行の使い勝手や信用度、利息など今の日本と比べると非常に良い環境です。
金利差は日本の金融機関とは比になりません。また、信用度はS&PやMoody’sなど利用できるもので比較しています。(データが入手できなかった銀行もあります。)
日本では金融機関の政府保証が1000万円までですが、オーストラリアでは25万豪ドルまでなのも魅力的です。
【金利順】 MyStateBank 普通預金優遇金利 1.35% baa1 Judo Bank 3年定期 利払満期時 1.30% - meBank 普通預金優遇金利 1.20% - Ubank 普通預金優遇金利 1.11% AA- NAB系列 UP 普通預金優遇金利 1.11% BBB+ Bendigo系列 【楽チン・高金利・信用度高順】 Macquarie 0.95% A+ 放置で何もしなくていい Ubank 1.10% AA- 月間AU$200の入金Suncorp 0.95% A+ 月間AU$200の入金 引出し無 meBank 1.20% デビットカード月4回取引 UP 1.10% デビットカード月5回取引 【個人的総合順位】 Macuarie Judo Bank MyStateBank Ubank UP 【総評】 何もしなくて高金利で信用度が高いMacquarieが一番でした。Judoは信用度はゼロですが、政府保証が25万ドル迄有り。MyStateBankも信用度はそこそこですが、政府保証と高金利で上位にランクイン。UBankはNABの信頼性と高金利、UPはBendigo Bank系で中堅ですが、先進性と高金利でランクインしました。何にしても日本の三菱UFJなどと同格で何にもノルマ無しで0.95%を出すMacquarieが一番と思いました。しかも振り込み手数料はオーストラリアではありません。海外カード利用手数料、口座維持手数料も各行無料です。 ※金利は日々変動しますので詳細は各銀行のホームページをご確認ください。
普通預金では物足りないという方は定期はないのかとお思いになるかもしれませんが、定期預金の金利はあまりよくはなく普通預金のボーナスセイバーと呼ばれる様なある条件を満たすと優遇金利が得られるというタイプのものの方が金利が良く(変動金利)、資金をロックされることもなく使い勝手が良いと思います。定期の方が金利がいいと思い込んでいる我々日本人にとってはちょっとここが落とし穴になりますので注意が必要です。自分は認識するまで少し時間がかかりました。
自分の場合、最近金利が徐々に下がって来ているため結果的には良かったのですが、資金の一部を定期にしましたが別に普通預金でも良かったかなと思いました。
最後に不動産です。
ここオーストラリア、とりわけ都市部ではどこも慢性的な住宅不足で価格が高騰しています。
投資対象としては非常に良いのですが、188投資ビザは一時滞在ビザのため、外国人の不動産の取得には制限があります。
よく外国人は新築しか購入できないという記事を見かけますが、誤った情報です。
一時滞在ビザの外国人が購入出来る住居用物件は次の3つです。
ただし、FIRB(Foreign Investment Review Board。外国投資監視委員会)に事前に申請をし、Exemption Certificateと呼ばれる外国人が住居用の不動産を購入する際の規制除外証を取得しておく必要があります。これには12700豪ドル(日本円で約100万円)が必要となります。取得日から1年間が有効期限です。
・新築物件 ・中古物件 ・住居を建てるための更地 ※厳密にいうとこれ以外にも外国人が可能なことがありますがほとんどの場合認められないと弁護士に確認をしましたのであえて書かない様にします。 こちらもその他の規制や法律も頻繁に変わりますので州政府のホームページ等を随時ご確認ください。
それぞれ条件があります。
まず新築物件ですが、これは比較的自由度が高くおすすめです。
ただ、いずれ永住ビザに切り替えを検討されている方はそこまで気にする必要はないかもしれません。
永住ビザに切り替わった瞬間に外国人に課せられる制限はなくなるからです。
新築物件は自分たちが住む他に、他人への貸し出しが可能です。
それに比べ中古物件は他人への貸し出しが出来ません。
これももちろん永住ビザに切り替わった瞬間に貸し出しも出来る様になります。
あとは住宅を建設するための更地です。
これは都市部では物件としてほとんどないのが現状です。
特にブリスベンの場合は人気のある学校の学区内の物件はすぐに買い手が付くため、人気のない学校のエリアは比較的物件があります。
ただ、人気がないということは手離れは悪いということになりますので注意が必要です。
ブリスベンですと学区で人気が高いエリアはBrisbane State High School、Indooroopilly State High School、Cavendish Rd State High School、Mansfield State High School、Kelvin Grove State Collegeなどです。
ブリスベンの物件数は中古物件が圧倒的に多く、その次に更地、新築物件という感じです。
中古物件や更地を購入する際の注意点としては日本でいう地区計画のようなものがあり、古い物件の建て替えが出来なかったり、新らしく建築する際に外観に制限を受けるという点です。(Characterと呼ばれます。)
ただ、オーストラリアの住宅業者は日本の住宅業者とは違い(日本でも良くない業者は山の様にありますが)、建築がなかなかスタートしなかったり、図面の指示通りの建設がされなかったりとかなり問題が多いと聞きます。日本人の感覚では絶対に建てられないということは肝に命じて更地を購入することをお勧めします。多くの日本人から悲鳴が聞こえて来ます。やはり建売の様な新築物件か中古物件を購入するのが正解だと思います。
最後に非常に我々外国人には痛い話をしなければならないのですが、通常3%の日本でいう不動産取得税の様な税金(Stamp Duty)がありますが、外国人の場合はこの3%にプラス7%の外国人税が上乗せされます。
このことからオーストラリア人が通常物件を購入する場合に比べて7%プラスでかかるということを念頭に物件を購入する必要があります。
ただ、2032年にブリスベンオリンピックが開催される可能性が高いこと、クイーンズランド州のコロナ対策が高く評価され、シドニーやメルボルンといった都市からブリスベンに流入が続いていること、このコロナ禍で移民の流入がストップしているにも関わらず昨年住宅価格が15%近く上昇していることを考えるとこの7%を支払ってでも購入する選択肢も十分にあると考えています。
ちなみに私はExemption Certificateを入手し、いつ良い物件が出て来ても購入できる様にしています。
オーストラリアの物件は日本にはないような都市部でも緑豊かで非常に気持ちが良く、ダイナミックな物件を見かけます。
また購入が決まりましたら情報をシェア出来ればと思います.
最後までお読みいただきありがとうございました。